エンタープライズ・ストレージに関する洞察

マルチクラウド・エコシステムで考慮すべきデータ管理に関する5つの課題

企業にとってデータは可能性の宝庫です。データがもたらす価値は事業成長を促し、イノベーションを加速させ、カスタマー・エクスペリエンスを高めます。

データの生成量とスピードが高まりづつける一方で、企業の多くは今日のデータドリブンな世界がもたらす可能性をフルに活用できずにいます。企業は、自社が生成するデータのごく一部しか利用しておらず、データ管理戦略にも行き詰まっています。つまり、企業は新たなチャンスと収益源をみすみす見逃しているのです。

データ管理にかかわる動向の変化

データ管理に関する課題のひとつは、散在するデータの保存と管理が複雑であることに起因しています。データは、エンドポイントやエッジ、複数のクラウドなど複数の場所に散在することがよくあります。

Seagateによる最近の「データを再考する」レポートによると、一部例外は存在するものの、企業は現在、エッジやパブリック・クラウド、プライベート・クラウド、インダストリー・クラウドに比較的均等にデータを保存しています。また、ガートナーによる最近の解説では、パブリック・クラウドを利用する企業の81%が2社以上のプロバイダを利用しており、結果的に複雑さにますます拍車がかかっていると指摘しています。

IDCの調査に基づくSeagateのレポートでは、企業は今後、これまで以上に多くのデータをクラウド・リポジトリに移動させる見通しであることが分かっています。こうした動きを加速させている要因として、以下の5点が挙げられます。

  • データ・セキュリティの向上(アンケート回答者の17%が回答)
  • AI/MLやIoTなどのデータ分析および管理サービスの利用頻度の増加 (14%)
  • ITインフラストラクチャの運用に関する透明性と管理機能の向上 (14%)
  • コストとインフラストラクチャの総所有コストの削減 (11%)
  • アプリケーションやビジネスユニットにおけるデータへのアクセス頻度の増加 (10%)

マルチクラウド・エコシステムへの移行がもたらす課題は、IT部門にとっての課題にとどまりません。拡大するデータの散在に加え、こうした変化は、データから最大限の価値を引き出して収益の増大につなげようとする経営者の手腕にも直接影響を及ぼします。

Seagateのレポートでは、データ管理を阻む主な障壁として以下の要素を挙げています。

  • 収集したデータの活用 (39%)
  • 収集したデータのストレージの管理 (37%)
  • 必要なデータの収集 (36%)
  • 収集したデータの保護 (35%)
  • データ・サイロの打破 (30%)

これから、データがそのライフサイクルを進む過程でこうした課題が生じる背景について詳しく見ていきます。

課題1:データ収集

データはもはやデータセンター内だけで生まれるものではありません。クラウドだけでなく、IoTやエッジ・コンピューティングなどの最新技術から生成されるデータの量は、増加の一途をたどっています。しかし、レポートによると、企業は事業活動を通じて生成されるデータの56%しか収集していません。

その一方で、使用可能なすべてのデータを収集しようとすると、既存のITインフラストラクチャに負担がかかり、コストが膨れ上がります。これこそが、企業がデータ管理を再考すべき数多くの理由のひとつです。例えば、ライフサイクルの開始時にデータを特定して分類しておけば、データ・プルーニングをスピードアップでき、それによってコストが削減されます。

課題2:データ・サイロ

データの散在によってサイロが生じると、データサイエンティストやアナリストがそうしたデータから洞察を引き出し、意思決定者に提供することが困難になります。また、組織の文化がさらなるサイロ化を招くこともあります。競合する組織はそれぞれ異なる目的を持っており、特定のデータを自分たちの手中に収めて管理したいと考えるものです。

サイロ内のデータにアクセスできるようにするためには、経営者は技術と人の両面から障壁に対応する必要があります。統合型のポリシー構成などの自動化ツールがあれば、技術面での障壁を解消できる一方で、世界規模でのデータ管理やグローバル・スタンダードなどによって、チームの団結を図ることができます。

課題3:データ・セキュリティ

データ・セキュリティは、ITリーダーにとってもビジネスリーダーにとっても、常に主な懸念のひとつに挙げられる事項です。特にマルチクラウドのセキュリティには、異なるクラウド間での透明性の違いや様々なセキュリティ・コンポーネント間での調整不足など、独自の問題がつきものです。

脆弱な環境はデータ侵害のリスクを生み出し、経済的損失や規制違反に対する罰金、評判の毀損、プライバシー侵害など様々な被害を招きます。しかし、セキュリティの重要性はそれだけにとどまりません。データの価値をフルに引き出すためには、強固なセキュリティが不可欠です。データに絶えずアクセスできる環境とデータの整合性を確保するうえで、セキュリティは重要な役割を果たすからです。

課題4:データ・ストレージ

データ管理を成功させるためには、オンプレミスとクラウドのアーキテクチャ全体でデータ・ストレージの透明性を総体的に高める必要があります。これはデータの民主化にとどまりません。ストレージを統合し、データの保存場所にかかわらず、一枚のガラス越しに眺めるような感覚でデータを管理する必要があるのです。

一方で、異なるストレージ技術の増加や共存など、これまで企業に導入されてきたストレージ技術が問題を引き起こすことも多くあります。さらに、企業の多くはデータ・ストレージに関する一貫した戦略を持ち合わせていません。

課題5:データの有用性

「データを再考する」レポートによると、企業は使用可能なデータの3分の1程度しか活用していないとされます。そうした企業は収集したデータを大規模なリポジトリに放り込んで、そのまま放置しています。データの宝庫から洞察を引き出すのではなく、データを保存してそのまま忘れ去ってしまうこともざらにあるのです。

スマートなデータ収集は、事業目的を理解し、企業がデータからどんな洞察を集めたいと考えているのかを知ることから始まります。こうした目標から、どのようなデータを収集すべきなのかが明らかになります。

また、膨大な量のデータを分類する作業も有用性の問題に関わっています。企業は、複雑さやツールの重複、データの統合など、データから貴重なビジネス・インテリジェンスを引き出す能力に影響を及ぼす要素に対処しなければなりません。

成功に向けた進化

経営者は、マルチクラウドにおけるデータ管理の課題に取り組むことで、収集したデータから最大限の可能性を引き出す必要性に迫られています。そのためには、現行の戦略を成熟させなければなりません。より良い成果をあげるためには、エンドポイントからコア、さらにはクラウドに至るまでのデータ・オーケストレーションを改善し、DataOpsモデルを導入するという2通りの方法が考えられます。

DataOpsとは、データ分析の質、スピード、価値に重きを置いた新たな手法です。IDCの定義によると、DataOpsはデータ作成者(レポートや情報を生成する機器や人)とデータ利用者(意思決定者)とをつなぐ役割を果たします。

DataOpsは、コラボレーションを促進するプロセスです。AI技術を取り入れてビジネスプロセスを全体的に確認できるようにしたり、クラウドやコア、エッジなどのデータソースから集めたデータを効果的に関連付けたりすることが可能です。この高度なデータ管理ツールを使用することで、企業は複雑なマルチクラウドから生じる課題の解決に取り組むことができます。より多くのデータを活用できることは、より良い洞察を得ることにつながります。

データの持つ可能性を最大限に引き出すことで、データを情報に変えることができます。IDCのリサーチ・ディレクター、フィル・グッドウィン氏は「データを再考する」レポートの中で「構造化データ、半構造化データ、非構造化データの別を問わず、その生成者が人であれ機械であれ、その保存場所がデータセンターであれクラウドであれ、データは競争力の新たな基礎である」と指摘しています。

Seagateの「データを再考する」レポート全文では、企業がより多くのビジネスデータを有効活用するための方法をご紹介しています。