Perspective

03 11月, 2025

Artificial Intelligence

生成AIのユーザー行動に関する最新のIDCレポート

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企業の課題:新たなデータ活用の成否の分かれ目

クリーン・ルーム内の保管ラックに整然と並べられた半導体ウエハーが、光の反射とレンズのフレアに照らされている画像。
 

記事のポイント

  • 企業の全社的な動きとして、従業員による生成AIの活用が浸透している。
  • 結果:コンテンツ作成の裾野が広がり、初心者クリエイターでもリッチなコンテンツのファイルをいくつも生成できるようになりました。
  • 質問:生成AIツールが生成したデータから、そのツールの価値を最大限に引き出すにはどうすればよいでしょうか。

IDCの最新の調査1によれば、企業での生成AIに対する理解は進んできています。その結果、生み出されるデジタル・コンテンツの数は増え、構成要素もリッチになっています。一方で課題も生じています。事業を成長させるためには、新たに生成されたデータの価値をどう活用すればよいのか、という課題です。

どれだけの企業が生成AIを導入しているか。IDCの調査対象となった企業では、例外なく生成AIが導入されていました。また半数以上の企業では、生成AIツールの利用期間は12か月以上に及んでいます。

生成AIの利用実態。主な用途として、以下の3つが挙げられています。

  • 広告の謳い文句やソーシャル・メディアへの投稿の作成、マーケティングや営業向け資料などのカスタマイズ (72%)。
  • 業務手順書、報告書などのビジネス文書の作成 (70%)。
  • コンセプト・アート、写真、動画、ストーリーボード、その他のクリエイティブ資産の作成 (58%)。

クリエイティブな活動の裾野の拡大。生成AIは単なるコンテンツ生成の機能にとどまりません。つまり自らが作り手となるコンテンツ作成者も現れているのです。

実際、4社のうち3社が生成AIの導入をきっかけに、従来の事業部門に属す従業員がクリエイティブなコンテンツを作成するようになったと回答しています。

このことは、調査対象となった企業の35%で、画像や動画制作の専門家への依存度が低下していることを意味します。

初心者がそうした制作を手掛けることはブランド・イメージにとってリスクとなるでしょうか。そうとは限らないというのが、IDCの見解です。「クリエイティブ分野の専門家が消えつつあるわけではありません。より発展的なあり方として、全体の監督や品質保証、戦略的な指揮を担う立場へと重心を移しているのです。」

企業データの急増。3分の2の企業が、生成AIツールの導入前よりも多くのコンテンツ・ファイルが従業員によって作成されるようになったと回答しています。

そうなるとファイルの数だけでなく、そのサイズも問題です。生成AIによって生成されるファイルは、従来よりもサイズが大きくなっていると回答した企業は70%を超えています。また、31%の企業が、ファイルは「サイズが大幅に大きく、よりリッチで高解像度に、もしくはより複雑になった」と回答しています。

その要因の多くを占めているのが動画です。「調査対象企業の75%以上が、生成AIの活用によって動画ファイルのコンテンツ量は、今後5年間で少なくとも現在の2倍以上に増加すると回答しています。」

繰り返し作られる成果物をどのように扱うか。たとえば洗練されたパンフレットのデザインが簡単にできるとしたら、1つ作ったものを今度はプロンプトに手を加え、もう一度実行するということになりがちです。

調査結果はこの点を裏付けており、57%の企業が「同じコンテンツの複数のバリエーションを作成する頻度が増えた」と回答しています。

46%の企業にとって、このことは「類似のまたは過剰な大容量ファイルを保存する」結果となります。

これらの類似ファイルや過剰ファイルは、どのように扱われているでしょうか。IDCの調査によれば、「25%の企業がすべてのバリエーションを体系的に保存」、「36%の企業がもっとも出来の良いバージョンを選んで保存」、「25%の企業が通常、余分なファイルを破棄」するという結果になったとのことです。

大量かつ大容量の、複数のファイルの保存。調査対象企業の66%が、今後2年間で生成AIの導入に伴って保存するデータ量が増加すると予測しています。

そうした予測を踏まえて、やはり同じ程度の企業がストレージのアップグレードや容量の増強を図っています。ただし、現在のインフラが「生成AIに完全に最適化されている」と考える企業の割合は、わずか34%にとどまっています。

価値の引き出し方。レポートには「重要な問題は、データ量が増加するかどうかではなく、企業がその規模を活用してどのように測定可能な価値を提供するかという点にあります」と記されています。

生成AIによる成果物には一時的なものもありますが、長期的な価値を発揮するものも多くあります。たとえば将来的なキャンペーンやプロジェクトでの再利用、AIモデルのトレーニングと微調整など、その価値はさまざまです。

何をどの程度の期間保存すべきか。「生成AIの導入に合わせて、新たなデータ・ガバナンスまたはコンテンツ・ライフサイク・ルポリシーを取り入れた」と回答した企業はわずか39%でした。

一方で、ガバナンスやライフサイクルに関する方針の策定や、それ以前に、変更の必要性自体の判断に取り組んでいる最中と答えた企業の割合は59%に上りました。この過半数にあたる企業は「思いがけない失敗をする危険性」があると、IDCは指摘します。

生成AIの時代におけるコンテンツ制作について関心をお持ちですか。詳しくはこちら。

脚注

ホワイト・ペーパー『Content Creation in the Age of Generative AI: Implications for Value and Scale(生成AI時代のコンテンツ作成:価値と規模への影響)』、Seagate Technologyの委託を受けてIDCが作成、US53817625、2025年10月

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