ケーススタディ

Lyve Mobile - 複数の大学が取り組むデータ・バックアップ転送のニーズに対応

ドイツのノルト・ライン=ヴェストファーレン州にあるアーヘン工科大学は、データ・バックアップ・コンソーシアムであるDatensicherung.nrwでサービス・メンバーを務める3校のうちの1つです。サービスを利用したい各大学がコンソーシアムに参加する際には、その学校のネットワーク接続が、保護を必要とするデータの量に見合うかどうかが検証されます。多くの場合、新しい参加校は、「サービスとしてのデータ転送」を利用して、サービス・メンバー3校のいずれかに初期バックアップ・データを転送しなければなりません。そこで大いに役立ったのがLyve Mobileです。

11 3月, 2024

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概要

アーヘン工科大学 (www.rwth-aachen.de) は、1870年にドイツのノルト・ライン=ヴェストファーレン州アーヘンに創立され、現在は同国でもトップ校の1つです1。2023年から2024年にかけての冬学期の時点で、同校には45,284人が在籍して173のコースを履修しており、そのうち14,437人は、141か国からの留学生です。同学期のスタッフは、572名の教授、6,354名のその他の学術スタッフ、3,001名の教員以外のスタッフ、438名の研修生で構成されていました。

お客様のストーリー

アーヘン工科大学は、Datensicherung.nrw (https://datensicherung.dh.nrw/en/)(英訳名は、Backup for the universities in NRW (North Rhine-Westphalia))として知られるデータ・バックアップ・コンソーシアムのプロジェクト・リーダーであり、ビーレフェルト大学、デュースブルク・エッセン大学とともに、メンバー・サービス・プロバイダも務めています。コンソーシアムの目的は、「参加する高等教育機関がデジタル化をさらに推進できるよう、拡張性のあるサービスを提供してデータの永続性と可用性を確保すること」です。ドイツのノルト・ライン=ヴェストファーレン州には37の州立大学(大学、工科大学、応用科学大学、芸術および音楽大学)があり、現在29校がDatensicherung.nrwグループに参加しています。

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お客様の目標

アーヘン工科大学を含むサービス・プロバイダ3校は、現在、Commvaultバックアップ・インフラストラクチャ(SeagateがCommvaultと取り組むさまざまな技術統合)を自校のデータ・バックアップだけでなく、接続されている他のNRW州大学のバックアップにも利用しています。キャンパスでの火災、激しい嵐、マルウェアによるサイバー攻撃といった大惨事は、深刻なデータ損失を招きかねないため、コンソーシアムでは「構造的、技術的、空間的に分離したバックアップ・コピー」の保持を非常に重視しています。「大学内部でのデータ・バックアップという従来の方法は持続可能とは言えない」と確信した同組織は、NRW州内の大学とNRW州を支援しようと、大学横断的なデータ・バックアップ・システムの確立に乗り出しました。そのためには、バックアップ・データを各種メディアで複数作成し、保存先を分散させることがきわめて重要です。それが堅実なバックアップ戦略を提唱する同組織の考えでした。

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お客様の課題

アーヘン工科大学ITセンターの最高技術責任者を務めるトーマス・アイファート博士はこう話します。「データとITへの依存度は、ますます高くなっています。しかも、適切なバックアップ方法や、データ損失からのレジリエンスに設定される要件も複雑化しています」

博士によると、こうした複雑さは小規模な大学によく見られます。「しかし、大規模な大学でも、これらの要件をすべて満たすリソースが不足する場合があります」とも博士は指摘します。さらに、コンソーシアム・メンバーの物理的な環境を考えると、そのような量のデータ・バックアップを常に賄える規模とは言えません。

博士はこう続けます。「大学はそれぞれが違う分野に取り組んでいますし、何を主題にするかによってデータ量も異なってきます。昨今、大きな変化が見られました。以前は、技術志向の大学で大量のデータが保持されていましたが、今では音楽や芸術の分野ではるかに多くのデジタル・データが生み出されています」

現在、Datensicherung.nrwコンソーシアムの各メンバーは、物理的なサイズや保存するデータ量に関係なく、サービス・プロバイダ3校を通じてストレージを共有しています。

博士はこう説明します。「それが、主なアイデアのきっかけとなりました。バックアップを統合すれば、サービスを簡単に拡張できると考えたのです」。主要3校のサービス・センターでは、他のすべての州立大学向けに、最新のバックアップおよびリカバリ・サービスを提供しています。

コンソーシアムに参加する際には、最初の導入準備プロセスとして、自校のファイアウォール、IDシステム、外部へのネットワーク接続のテストを受ける必要があります。既存のネットワーク接続で十分なデータ転送を行える場合もありますが、それよりも高速な転送方法の選択が必要な場合もあります。こうしたケースでは、多くのデータ容量を転送できても、遅延がよく発生する、と博士は指摘しています。

「外部に向かう接続が良好でない大学に対応した際に、ディスクの配送を思い付きました。「では、ディスクを買って準備しておこう」と最初は考えました」。博士は、そう言います。しかし、この方法を取るのは明らかに経済的でないとすぐに判断されました。それに、ディスク配送の運用が必要になります。各校には配送サービスの知識はありません。すぐに利用できるよう通常購入しているディスクも、定期的な配送には適していませんでした。

お客様のソリューション

ネットワークのデータ転送速度が障壁となった際、アーヘン工科大学はDatensicherung.nrwの他の大学とともに、どうすればコンソーシアム・メンバーの大量のバックアップ・データをサービス・プロバイダ3校に送信できるかを検討し、このケースの最善策は物理的な配送と結論付けました。その直後に「サービスとしてのデータ転送」が可能なSeagate Lyve™を知ったのです。

博士によると、「Lyve Mobileデータ転送サービスは、コンソーシアムの導入準備プロセスの一部として機能しています」。参加を決定した大学があった場合、コンソーシアム側で、新規メンバーのファイアウォール・プロセス統合要件をチェックして、IDシステムから必要な情報を得られることを確認します。同時に、データ量と外部への接続環境を照らし合わせ、参加校がネットワーク経由でデータを転送する際にかかる時間を見積もります。さらに、それをデータ転送サービスのタイミングと比較して、このサービスの利用に大きなメリットがあるかどうかを確認します。

お客様の成功

博士によると、この導入準備プロセスを完了してコンソーシアムに参加したノルト・ライン=ヴェストファーレン州立大学の約半数が、Lyve Mobileを利用しました。最初に転送されたデータ量は最大で300TB台でしたが、今では毎晩約140TBがネットワークを介して追加されています。コンソーシアムでは、引き続き、参加を検討しているその他の大学と導入について話し合っています。

Lyve Mobileの導入により、Datensicherung.nrwとアーヘン工科大学では、データを1か所に集約して安全なバックアップ運用を実現できました。現在は、同ソリューションを利用したディザスタ・リカバリ戦略強化を検討しています。

博士は、こう話します「この効果的な増分バックアップを日次で運用できています。しかし、災害が発生したらどうすれば良いのでしょう。ある大学ですべてが破壊されたり、崩壊したりした場合、どうすれば失われた量に匹敵する量のデータを現地で復元できるでしょうか」

コンソーシアムでは、Lyve Mobileシステムに、各大学のサービス再開に不可欠なデータをロードして、必要な際に返送できるようにするプロセスを設計中です。

博士の説明によると、Lyve Mobileを採用した同グループのディザスタ・リカバリ戦略は、現在の導入準備や継続的かつ一元的なバックアップ戦略とは異なるものです。

「導入準備では、「サービスとしてのデータ転送」を利用する (Lyve Mobile) ことも、時間をかけて有線接続で転送を完了させる(ネットワーク接続)こともできます。しかし、復旧対応ではそうはいきません。数日内に完了する必要があります」

Seagateは優れた製品を提供しています。ストレージ・システムのプロバイダだと思っていたSeagateが、Lyve Mobileという「サービスとしてのデータ転送」も提供していたとは。これは、他の大学のITセンターにも知ってほしいニュースです

トーマス・アイファート博士

アーヘン工科大学ITセンター最高技術責任者、Datensicherung.nrwコンソーシアム責任者

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Lyve Mobile
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