17 5月, 2024
「ハードディスク・ドライブが過去のものになる日は近い」
「オールフラッシュ・アレイは近い将来、データ・センターのディスクやハイブリッド・アレイに取って代わる」
「未来のデータ・センターはオールフラッシュだ」
これらは、何度も繰り返されてきたハードディスク・ドライブ絶滅説の最新版とも言えます。このような説はもう10年以上にわたって語られてきました。ハードディスク・ドライブの終焉についての予言は、一部のフラッシュ・オンリー・テクノロジーの声高で楽観的な支持者たちによって語られてきましたが、年を経ても実現していません。しかし時とともに、予言はより強硬になっているように見えます。
フラッシュ・ストレージが、ハイパフォーマンスとスピードを必要とするアプリケーションに適していることは間違いありません。フラッシュの売上は伸びており、オールフラッシュ・アレイ (AFA) の売上も同様です。しかし、ハードディスク・ドライブの売上がその分落ちているということはありません。ハードディスク・ドライブの終焉をめぐる推測の根拠には大きな欠陥があります。
私たちが生きるこの時代では、クラウドが世界に行き渡り、AIのユースケースが出現したことにより、膨大なデータ・セットの価値がますます高まっています。今日、世界のエクサバイト (EB) 規模のデータの大半を保存しているのはハードディスク・ドライブであり、データ・センター事業者にとってハードディスク・ドライブはこれまで以上に不可欠なものとなっていいます。
近年、フラッシュの価格が一時的に史上最低水準まで下落したときでさえ、大量のデータ・ストレージを必要とするワークロードで、ソリッド・ステート・ドライブ (SSD) がハードディスク・ドライブに取って代わることはありませんでした。
業界アナリストは、増え続けるEBクラスのデータから恩恵を受けるのは主にハードディスク・ドライブであると予想しています。以下のグラフは、世界のデータ・セットの大半が存在するエンタープライズや大規模クラウドのデータ・センターが、設置容量の増加において重要な推進要因となることを示しています。業界予測によると、エンタープライズ・ストレージの総量は、2023年から2028年の間に8,528EB増加し、2028年には14ゼタバイト (ZB) に達する見込みです。このうち、ハードディスク・ドライブ・ストレージは440EB、SSDは166EB、テープは921EB増加すると見られています。1 これらの数字は、エンタープライズのすべてのユースケースにわたって絶対的な容量が増えることを示しています。
このグラフでは、こうした未加工の容量の差ではなく、メディア・タイプ別の年平均成長率 (CAGR) と全体的なインストール・ベースに焦点を当てています。例えば、ハードディスク・ドライブ・ストレージは2023年から2028年の間に440EB増加すると予測されていますが、これはこの5年間のCAGRが25%に達することを意味しています。² この25%の成長(グラフの緑色の部分)は、インストール・ベースの成長を表しており、2023年の4.1ZBから2028年には10.5ZB以上に増加する見込みとなっています。440EBという数字は、具体的には毎年新たに追加される容量を示しており、インストール・ベースの全体的な拡大に寄与しています。
しかしこれはゼロサムゲームではありません。データ・センターでは、ハードディスク・ドライブとフラッシュはさまざまなサービスをサポートするため、常に相乗効果を発揮するように導入されてきました。どちらにも独自のメリットと価値提案があります。実際、生成AIの時代には、フラッシュ・テクノロジーとコンピュート・クラスターが密接に結びつき、下流でハードディスク・ドライブの容量へのニーズを間接的に増加させました。生成されたコンテンツを経済的に保存する必要があるためです。
このストレージ・メディアのシナジーは現在も健在です。ハードディスク・ドライブの陳腐化をめぐる推測は真実性に欠け、最終的に現実となることはないでしょう。
この推測の根底にある3つの主な定説と、当面の間、サードパーティのデータに基づきハードディスク・ドライブがデータ・ストレージ・アーキテクチャの中心であり続ける理由について見てみましょう。
データは嘘をつきません。ハードディスク・ドライブはSSDよりもテラバイト (TB) あたりのコストで優位に立っており、データ・センターのストレージ・インフラストラクチャの揺るぎない土台となっています。
NANDフラッシュ・メモリ・ストレージの価格は依然として安定せず、2023年には需要の低迷と供給過剰により過去最低を記録しました。しかし、アナリスト企業であるForward Insightsは、SSDの価格は2024年から2025年にかけて再上昇すると予測し、実際にそのとおりになりました。急激な価格低下に直面していたSSDベンダーは、長期在庫の削減や、需要に供給を一致させるための設備投資削減に苦しんできたため、この好転を歓迎するでしょう。これに続き、NANDベースのソリューションの価格上昇はすでに始まっています。
少なくとも2027年まではSSDとハードディスク・ドライブのTBあたりのコストが低下し続けるとはいえ、IDC、TRENDFOCUS、Forward Insightsによる調査をSeagateが分析した結果、ほとんどのエンタープライズ・タスクでは、ハードディスク・ドライブが最もコスト効率の高い選択肢であり続けることがわかっています。エンタープライズSSDとエンタープライズ・ハードディスク・ドライブのTBあたりの価格比は、少なくとも2027年まで7対1以上で推移すると予測されています。
このTBあたりの価格の差は、デバイスの取得コストが総所有コスト (TCO) の大部分を占めているデータ・センターでは特に顕著です。ストレージ・システムにかかるすべてのコスト(デバイスの取得、電力、ネットワーク、コンピューティングなどにかかるコスト)を考慮するなら、ハードディスク・ドライブを使用するシステムのTCOはTBあたりではずっと優れています。
手強いTCOと価格の格差を回避するため、一部のAFA OEMは、数百TBの容量を持つ独自のカスタム高密度NANDデバイスを設計し始め、デバイスの経済性を超えて、システム・レベルでの理論上のTCOの優位性を主張しています。しかし、この論理の問題点は、劇的に高い密度のNANDを1つのデバイスやシステムに追加しても、未加工のメディアのTBあたりコスト差は変わらないということです。
TBあたりコストでの不利な立場から目をそらすために使われるもう1つの戦術は、いわゆる「TBe」、つまり「実効テラバイト」に関係しています。データ削減技術(データ圧縮など)により、SSDは未加工の容量で示される以上のストレージ容量を提供できるという主張です。しかし、大規模なデプロイメントでは、データ削減が行われるのはスタックのより上位であるため、ストレージ・レベルでは意味がありません。また、データ保護への関心が高まり、暗号化が普及している今、エンタープライズやクラウドのほとんどのユースケースではデータ圧縮が現実的ではなくなっています。データが暗号化されていると、データの規則性が失われるため、単純化して圧縮するためのパターンがなく、圧縮できなくなります。
つまり、フラッシュは特定のハイパフォーマンス・タスクを実行するのに優れていますが、ハードディスク・ドライブはデータ・センターにあるEBクラスのデータの重要な保存先であることに変わりありません。当分の間、信頼性が高く、コスト効率に優れ、広く採用されるソリューションを提供し続けるでしょう。
NAND業界がハードディスク・ドライブ容量を置き換えるために急速に供給量を増やせるだろうという考えは楽観的すぎるどころか、財政破綻につながる試みだと言えます。ハードディスク・ドライブからNANDへの移行は、単に生産台数を増やせばよいというものではありません。ハードディスク・ドライブに負けない価格を別にしても、これは財政面でも物流面でも実現不可能です。
業界アナリストであるYole Intelligenceの2024年第4四半期『NAND Market Monitor』レポートによると、NAND業界全体で2015~2024年にかけて3.9ZBを出荷した一方、2,230億ドルの資本支出という驚異的な額の投資をしなければなりませんでした。これは全体の収益の約43%に上ります。
これとは対照的に、ハードディスク・ドライブ業界は、データ・センター向けストレージのニーズの大部分(ほぼ87%)に、非常に資本効率よく対応しています。話をわかりやすくするため、ハードディスク・ドライブ業界の例としてSeagate Technologyを見てみましょう。2015~2024年にかけて、Seagateは4ZBのストレージを出荷しました。この9年間のSeagateの設備投資は総額4.5億ドルで、Seagateのハードディスク・ドライブ総売上の4.9%程度に過ぎません。これは、NAND業界では1ZBあたり約570億ドルかかるのに対し、Seagateに代表されるハードディスク・ドライブの生産では1ZBあたり約11億ドルしかかからないことを示しています。ハードディスク・ドライブ業界は、データ・センターへのZBクラスのストレージ供給でははるかに効率的です。ハードディスク・ドライブについてIDCが、SSDについてForward Insightsが発表した予測をSeagateが分析した結果、2025年のハードディスク・ドライブの容量生産量はSSDのほぼ2.5倍になる見込みです。また、同年のエンタープライズとデータ・センターの市場では、ハードディスク・ドライブの容量生産量はSSDの4倍に達すると見られます。
エンタープライズクラスのストレージ・デバイス全体を見渡しても、ハードディスク・ドライブはコスト効率、拡張性、持続可能性において比類のない存在であり続けています。SSDやDRAMと比較して、ハードディスク・ドライブはギガバイトあたりのコストが最も低く、エクサバイトの出荷量が最も多く、売上高に占める設備投資額が最も低くなっています。また、1TBあたりの二酸化炭素排出量も最も少ないため、さまざまな場面で、最も効率的で持続可能なストレージの選択肢となっています。
以下の表は、コスト、規模、効率の3つの主要な側面を、2020年から2024年(暦年)までの平均値で比較したものです。ハードディスク・ドライブ業界は、データ・センターへのZBクラスのストレージ供給でははるかに効率的です。
最近の一部のAFAベンダーの主張によれば、フラッシュ業界は2028年までにハードディスク・ドライブ業界全体の生産する容量を完全に置き換えることができると言います。では、そのためにNAND業界がどれだけの投資を必要とするか見てみましょう。
Seagateの内部試算によると、NANDサプライヤは、将来のエンタープライズ・ハードディスク・ドライブの需要を満たすために、およそ2,400億ドルの追加の設備投資を行う必要があります。一方、ハードディスク・ドライブの場合はわずか10億ドルの投資でその需要に応えることができるのです。この数字が示すように、ハードディスク・ドライブは、はるかに資本効率に優れた拡張方法を提供し続けています。
下のグラフは、2024年と2028年のエンタープライズ容量の需要と、それに対応するために必要なハードディスク・ドライブとNAND技術の投資ギャップを示しています。
特に、2023年を通じて赤字が続いた後、安定して収益を見込めない業界にとって、約2,400億ドルもの大規模な投資が不可能なのは明らかです。
TrendForceの最新版『 NAND Flash Platinum Datasheet』によると、2024年現在、世界で約28のNAND製造工場が稼動しています。2022年10月にオープンしたKioxiaの第1製造棟の1期工事を例にとると、グリーンフィールドのNAND工場を1つ建設するのにかかる費用は約68億ドルです。したがって、NAND業界に必要な2,400億ドルの増額分の設備投資は、約35の新しい工場に相当します。この投資は、主にエンタープライズ・データ・センターのアプリケーションに特化したものです。
2,400億ドルという追加の設備投資は、将来のエンタープライズ・ハードディスク・ドライブの容量に対応するためだけに必要なものですが、NAND製造工場はエンタープライズSSD市場よりもはるかに多くの市場に対応していることに注意する必要があります。Yole Intelligenceの『NAND Market Monitor』(2024年第4四半期版)によると、NAND業界は全市場で1.1ZBのNANDを生産するために740億ドル以上を投資すると予測されています。
携帯電話、タブレット、その他のデバイスを含む、このような広範な生産需要を考慮すると、NANDの総投資ニーズは推定4,140億ドル(約50の新しい製造工場に相当)に膨れ上がる見込みです。IDC³によれば、これは2028年のハードディスク・ドライブ業界全体の売上予測(約220億ドル)の15倍以上に相当します。つまり、ハードディスク・ドライブ製造工場は、ほぼ完全にエンタープライズ規模のストレージに注力しているのに対し、NAND製造工場は多くの市場に対応しなければならず、断片的で互換性のないユースケースに投資を分散しているということです。このように、両者は好対照をなしています。
今後3~4年でこれらの施設の建設、拡張、テスト、適格性確認を進め、フル生産を開始して、4年以内に世界中のNAND工場の数を2倍以上に増やす必要があります。
さらに、IDCの『StorageSphere』レポート(2024年版)4によると、2024年、クラウドと非クラウドのデータ・センターに設置済みの既存のハードディスク・ドライブとSSDの容量比率は7対1でした。IDCの予測では、容量比率は当面ハードディスク・ドライブが6~7倍優勢な状態(年平均成長率 (CAGR) は21%)で推移し、2028年にはハードディスク・ドライブの設置容量は10.5ZBに達する見込みです。したがってNAND業界は、前述のように、将来的に毎年新しく生産されるハードディスク・ドライブをすべて置き換えるだけでなく、データ・センターに設置された10.5ZBのハードディスク・ドライブのうち、老朽化してライフサイクルの終わりに達した部分を置き換えるための投資も必要となります。この増分への投資は、2028年に設置が予想される2.4ZBのハードディスク・ドライブ容量を交換するのに必要なだけで優に4,140億ドルを上回ります。
NANDソリューションはデータ・センターの特定のワークロードを効率的に処理することはできますが、データ・センター全体でNANDを使用するという考えには落とし穴があります。ハードディスク・ドライブが供給していた容量をNAND業界に置き換えることのリスクや実現可能性の低さに加えて、価格が不安定であることも、安定供給と最良のTCOを求める企業にとっては不確実性を高める要因となります。
NANDが近い将来、ハードディスク・ドライブに完全に取って代わることは、不可能ではないにせよ、ほとんどあり得ないと言っていいでしょう。NAND業界は大きな財政と物流の障害を乗り越えつつ、現在のデータ・センターのアーキテクチャを根底から覆すような変化への準備が整っていない市場に、巨額の資本と技術を投入しなければならないためです。
ここで問題になるのが、誤った二分法です。オールフラッシュのベンダーは、フラッシュを全面的に採用してパフォーマンスを向上させることで、「簡素化」と「将来性」が実現できると企業にアドバイスしています。そうしなければ、企業はモダン・ワークロードのパフォーマンス要件に追いつけなくなる危険性がある、とベンダーは断定します。この「ゼロサム」のロジックは、以下の3つの理由で破綻しています。
では、1つずつ見ていきましょう。
第一に、世界のデータのほとんどはクラウドと大規模なデータ・センターにあります。このような環境では、ワークロードはパレート法則に従います。つまり、性能のかなりの割合を必要とするのはワークロードのごく一部のみだということです。ハイパースケーラの導入動向は、ストレージ・アーキテクチャを俯瞰するのに役立つ有力な指標です。IDC⁵によると、2019年から2023年にかけて、クラウド・サービス・プロバイダとハイパースケール・データ・センターに出荷されるエクサバイト容量の約87%をハードディスク・ドライブが占めていました。
世の中のデータのほとんどは、汎用的なユースケースで、必要なのはわずかなデータ転送時間のみというワークロードの一部です。IDCの『Cloud Infrastructure Index』(2025年版)の調査から引用した以下のグラフをご覧ください。
場合によっては、最高性能のソリューションの一部として、オールフラッシュのシステムがまったく必要でないことさえあります。オールフラッシュドライブと同等かそれ以上に高速なハイブリッド・ストレージ・システムがあるためです。デバイス・レベルでは、性能の差は明らかです。しかし、データ・センターのラックの規模で見ると、ハードディスク・ドライブの性能は極めて並列的なアクセスの効果により、AIや機械学習を含むほとんどのワークロードに対し、十分すぎる性能レベルを実現しています。同様に重要なのは、フラッシュによって性能が大幅に向上しても、ネットワークの帯域幅や品質など、他のインフラストラクチャの条件によって制約を受けることが多いということです。
第二に、前述したとおり、ほとんどのデータセンターのインフラストラクチャの決定で、TCOは重要な考慮事項です。このため、コスト、容量、性能のバランスを取る必要があります。最適なTCOは、最も費用対効果の高いメディア(ハードディスク・ドライブ、フラッシュ、テープ)をワークロード要件に合わせることで達成できます。ハードディスク・ドライブとハイブリッド・アレイ(ハードディスク・ドライブとSSDで構築)は、ほとんどの企業や、クラウド・ストレージとアプリケーションのユースケースに適しています。
ハードディスク・ドライブに最適なワークロード(ファイル・サービス、オブジェクト・ストレージ、文書管理システム、ウェブ・ホスティングなど)にSSDやAFAを使用することももちろんできます。しかし、コスト面から見ると、容量が大きければ大きいほど、そのような決断は異様に非論理的だとわかります。ガレージに停めた車を洋服の保管に使うようなものです。そんなことが可能でしょうか?それが車を使ってやりたいことであれば、もちろんできます。しかし、費用対効果の面では、非現実的です。
フラッシュ・ストレージは読み取りの多いシナリオでは優れていますが、書き込みが増えるにつれ耐久性が低下します。メーカー各社は、エラー修正とオーバープロビジョニング(表示されない追加ストレージで消耗したセルを交換する)によってこれに対処しています。しかし、そうしたソリューションには余分なコストがかかります。オーバープロビジョニングは組み込まれた製品のコストを大幅に増加させ、データ損失を避けるために常時電力が必要です。このため、エッジ・データ・センターやその他の環境で、連続動作が保証されず、高温かつ高スループットでアクセラレーションが行われる課題が生じます。
さらに、トリプルレベルセル (TLC) やクアッドレベルセル (QLC) のような技術により、フラッシュはハードディスク・ドライブと同様にデータ量の多いワークロードを処理できますが、より大きなデータ・セットの処理や長期的保持に対しては経済的根拠が弱くなります。そのようなケースでは、記録密度が高まっているディスク・ドライブのほうが、より費用対効果の高いソリューションを提供できます。ハイパースケール環境では、何千台ものハードディスク・ドライブを並列させて活用することで、フラッシュを補完するパフォーマンスを実現できます。これにより両者は最新のデータ・センターで協調的な役割を果たします。
その結果、TLCがマルチレベル・セル (MLC) NANDストレージに取って代わったように、QLCフラッシュがTLC市場のかなりの割合を置き換えつつあります。しかしハードディスク・ドライブの市場シェアは、この記事で説明したコスト、可用性、ワークロードの理由により、フラッシュによって侵食されてはいません。
第三の関連ポイントとして、AFAはハイブリッド・アレイやハードディスク・ドライブ・ストレージ・システムよりも優れているという主張があります。フラッシュ推進派は、使用するストレージを1種類に絞るほうが、メディア・タイプやストレージ層を混在させるよりも「シンプル」だと主張します。しかし、ことはそう簡単ではありません。
多くのハイブリッド・ストレージ・システムは実績があり、きめ細かく調整されたソフトウェア定義型アーキテクチャを採用しており、多様なメディア・タイプの長所を1つのユニットとしてシームレスに統合し、利用できます。スケールアウト型のプライベート・クラウドやパブリック・クラウドのデータ・センター・アーキテクチャでは、ファイル・システムやソフトウェア定義型ストレージを使用して、データセンターのロケーションやリージョンをまたいだデータ・ストレージのワークロードを管理しています。こうしたシステムは十分すぎる柔軟性を備えているため、企業は絶え間なく変化するニーズに応じてストレージ構成を調整できます。
AFAとSSDはハイパフォーマンスを必要とする読み取り集中型のワークロードには最適です。しかし、ニッチなユースケースや小規模な展開にAFAが最適だからといって、ハードディスク・ドライブがすでに低TCOを実現している大規模市場やハイパースケールに、AFAが不必要に高価なストレージを提供すべきだと考えるのは間違いです。
クラウド、ハイパースケール、大規模企業のストレージ・アーキテクチャには、コスト、容量、パフォーマンスを最適化するストレージがあります。ハードディスク・ドライブは、フラッシュ・ドライブでは対応できないワークロードに対応します。フラッシュはハードディスク・ドライブでは対応できないワークロードに対応します。どちらのストレージ・メディアもデータセンターで共存することになりますが、格納されるストレージ容量の面では、当分の間、ハードディスク・ドライブが優位を保つでしょう。
容量といえば、SSDの出荷台数が増加し、ハードディスク・ドライブの出荷台数が減少していることをもって、ストレージ・ドライブ市場が転換点にさしかかっている証拠だとする声がよく聞かれます。しかしこの根拠は、ハードディスク・ドライブ容量とハードディスク・ドライブの総出荷容量がかつてない速さで増加傾向にあることを考慮しておらず、誤りです。例を挙げると、HAMRにより実現した記録密度のイノベーションにより、Seagateの新しいMozaic™プラットフォームは、今後4年間で最大ユニット容量が2倍になります。従来の垂直磁気記録方式 (PMR) テクノロジーでは、容量の倍増を達成するのに9年かかりました。
成長率を正確に測定するためには、台数ではなく出荷容量を数えることが重要です。アナリストは、ハードディスク・ドライブの出荷容量は今後もかつてないペースで増加し続けると予測しています。フラッシュ・ストレージも成長しますが、設置容量という点ではハードディスク・ドライブには及ばないでしょう。
IDCおよびTRENDFOCUSの予測をSeagateが分析した結果、2028年までにハードディスク・ドライブの容量が2倍増加する見通しです。この割合は今後10年間も変わらないと推測されます。
SSDの生産量も増加していますが、どのようなSSDが生産されているのかを把握することが重要です。下のグラフが示すように、SSDの総出荷台数とエンタープライズ向けSSDの出荷台数の差は拡大しています。つまり、NANDの生産量の増加分は、エンタープライズクラスのSSDではなく、コンシューマや非エンタープライズ・セグメント(モバイル、組み込み、エッジ)に向けられているのです。そのため、エンタープライズ・フラッシュに依存している顧客にとっては、SSDの総生産量が増加していても、供給制約が続く可能性があります。この投資構成を見れば、データ・センターで最も必要とされるタイプのSSDに重点が置かれていないことは明らかです。
結論―ハードディスク・ドライブは存在し続ける
ハードディスク・ドライブの陳腐化というテーマは、10年以上前からテクノロジー業界で議論されてきました。さまざまな予測がありましたが、どれも実現しませんでした。直近の予測も同じでしょう。
オールフラッシュを絶対視する人々はほぼ例外なく、誤った推論で議論を立証しようとし、多くの場合、わずかな使用事例を拡大解釈するため、結論が成り立ちません。
せいぜいのところ、クリエイティブなマーケティングに過ぎないのです。
現実には、
もちろん、ハードディスク・ドライブの終焉を予言する「創造的マーケティング」に利用されている説はこれだけではなく、サステナビリティ、電力、信頼性などさまざまな分野にわたります。それらは今後の記事で取り上げる予定です。ぜひご覧ください。しかしながら、ここで紹介した3つの定説は最も影響力の大きなものです。
この記事に記載されたデータをきちんと検討すれば、おのずと「ハードディスク・ドライブは今後も存在し続ける」という結論に達するはずです。世界のデータの大部分は、この先もずっとハードディスク・ドライブに保存され続けるでしょう。
それが事実でないというのは妄想に過ぎません。
IDC、『Worldwide Global StorageSphere Forecast, 2024-2028』(文書番号US52312824、2024年6月)
IDC、『Worldwide Global StorageSphere Forecast, 2024-2028: An Installed Base and Retired Storage Perspective』(文書番号JP52312824、2024年6月)
IDC、『Worldwide Global StorageSphere Forecast, 2024-2028』(文書番号US52312824、2024年6月)
同書
IDC『Multi-Client Study, Cloud Infrastructure Index 2024: Compute and Storage Consumption by 100 Service Providers』(2024年9月)